技術情報
梁の作用力と変形(ひずみ)の関係
2007/6 T.Y
架設工法・手順また、いかなる構造系においても主桁の製作形状が折れ曲がることはない。折れ曲がっているとすればそれは間違いである。
1.梁の作用力と形状
- ① 荷重 W(x)
- 梁の上に乗るものを「荷重」といい、場所によって異なる。
- ② せん断力 S(x)
- 梁を断ち切ろうとする力で、荷重を積分することで求められる。
S(x)= W・x+C1
(C1=反力)
- ③ 曲げモーメント M(x)
- 梁を曲げようとする力で、せん断力を積分することで求められる。
M(x)=1/2 ・ W・x2+C1・x+C2
(C2=0)
- ④たわみ角 θ(x)
- 変形した梁の勾配が基準線との間でなす角度で、曲げモーメントを梁の曲げ剛度で除したものを積分することで得られる。
θ(x)=1/EI・(1/6・W・x3+1/2・C1・x2+C3)
- ⑤たわみ δ(x)
- 変形した梁の基準線からの離れ
δ(x)=1/EI・(1/24・W・x4+1/6・C1・x3+C3・x+C4)
(C4=0)
2.いろんな構造のたわみ形状(製作キャンバー)
~ ex.1 下津井瀬戸大橋の桁の製作キャンバー ~
注1)製作キャンバーは、なだらかな曲線であって局所的な折れ曲がりがあってはならない。
注2)製作形状が各支点位置を通るとは限らない。
注3)アーチ・吊橋などの重複部材構造では、桁の曲げモーメント形状に惑わされてはいけない。
~ ex.2 片持ち架設する連続桁の製作キャンバー ~
3.材種の選定
- ①断面力の算出
- 桁の曲率によって曲げモーメント・せん断力が定まるのであるから、着目点の最大曲率を求めれば、その点の最大作用力が定まる。
現実、微小変位法による解析では各点のたわみ値から断面力を求めている。
- ②多主桁の例
- 通常の多主鈑桁橋は横桁によって横断方向に連結されているので、ひとつの横桁が結ぶ各主桁のたわみ値はほぼ等しい。
※1:同じ横桁で結ばれる主桁の作用力は、ほぼ等しいが十分剛な横桁が配置されているようならば製作キャンバー図偏載により外桁が最大作用を受けることは道理である。
もし多主桁それぞれの各剛度が等しいとするならば、各桁の曲げモーメントは等しいと言える。また桁高が等しければ剛度に関わらずフランジの歪み量(発生応力度)は等しい。したがって隣り合う桁の材質が異なることは慨して良くない。また、荷重の偏載によって桁が捩られると、外桁のたわみは内桁よりも大きくなる。桁の配置・剛度に関わらず外桁の作用力が多少大きくなる所以である。